「沖で待つ」絲山秋子

By | 2006/03/14



こないだの芥川賞を受賞した絲山秋子「沖で待つ」を読みました。
女性総合職として入社した私と、同期入社の男性「太っちゃん」との、恋愛関係でもなく、単なる友人というのでもない、同僚独特の連帯感を描いている作品です。
二人はともに福岡の営業所に配属になって、気の合う同僚として信頼を深めていきますが、ある時ふと「死んでも見られたくないもの」の話になります。
「あのさ、一番やばいのはHDD(ハードディスク)だと思うのさ」
わはは。わかるよわかる。確かに嫌すぎるなぁ。
そこで、二人は約束を交わします。
片方が先に死んだら、残った方が忍び込んでHDDをぶっ壊す、と。
そんな突拍子もない約束ですが、唐突な事故によって、その約束を果たすときが訪れます。
とまあ、そんな話でした。
 
 
純文学というほど堅苦しいものでもないけど、でも物語的な盛り上がりもそれほどありません。
でも良いんだなぁ。淡々としてて。
作者自身、本当に大学卒業後にINAXで働いていたらしく、配属先も福岡だったらしいのですが、その実体験に基づいているのでしょう。さらっとかかれるけれども仕事現場が細かく描写されているので、現実味が増しています。「和式便所」が、いつのまにか「和便」に略されてるのにワロタ。
全然知らない土地に配属される不安感といったものがうまく表現されていると思いますし、それが福岡と言うところも個人的な記憶と重なってツボにきます。
荷物を抱えてポンポン船に乗ったときの不安感は一生忘れないと思うしね~。
と、なかなか良かったので、もう一冊行ってみようと思います。
次は「海の仙人


3 thoughts on “「沖で待つ」絲山秋子

  1. kei

    私も淡々としてるのがよかったと思います。
    仕事上の細かい描写が活きてましたよね。
    芥川賞候補作だった「クワイエットルームにようこそ」(松尾スズキ)も
    なかなか面白く読みましたよ。
    人によって好き嫌いはありそうですけど。

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  2. doumori

    絲山さんは本当にいいのですよ。
    胸に沁みます。

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  3. ふく

    >keiさん
    いやー、いいですよね~。
    お涙ちょうだい調だと、逆に白けるでしょうね~。
    松尾スズキですかー。ちょっと挑戦してみますよー。
    >doumoriさま
    そーなんです。doumoriさんが絶賛していたのを覚えてまして手に取りました。
    「海の仙人」も早く読みたいです~。

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