恩田陸「夜のピクニック」
あの一夜に起きた出来事は、紛れもない奇蹟だった、とあたしは思う。
夜を徹して八十キロを歩き通す、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。
三年間わだかまっていた想いを清算すべく、あたしは一つの賭けを胸に秘め、当日を迎えた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。
気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る――。
良い本。
書店員がもっと売りたい本屋さん大賞受賞ってのはダテじゃないです。
話題になると手に取る気がしない天の邪鬼な僕ですが、これは読んで良かったなー。
高校生が純朴で頭が良すぎるきもしますが、公立高校の進学校ってこんなかんじなんかな?
だから嘘くさいような、綺麗すぎるような、と感じる人も多いと思います。
僕も実はそう思うんですけど、
「こういうピュアな部分も持っていたんだよなあ」
と思い出せるところが、この本の良いトコと割り切れば、全然これで問題ないっす。
逆に、高3あたりで読んでも、僕なら「何をきれい事ゆーとんねん」としか思わなかったでしょう。
若い人に読んで欲しいって声もよくあるようだけど。
そういえば立命にも、全体行事ではないんですが、衣笠から草津までを夜通し歩く「ナイトハイク」という意味不明の行事がありました。
あれだって、この本みたく昼から80kmもあるかないけど、たいがいしんどかった。
なにより辛いのは、必死で夜通し歩いたのに、草津から京都に戻るのは電車で30分という現実。
圧倒的な文明の利器の前には、人間なんていかに無力かを感じることができますw
恩田陸って、これが2冊目なんですが、結構いいかも。
このGWで、あと3冊くらいは読んでみようかと思ってます。